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内臓脂肪型肥満・・・ダイエット博士

倹約遺伝子の仕組みから考えて、ある程度の体脂肪蓄積は人類生存上、必要不可欠といえます。

事実、日本人の統計でもやや太り気味の方が長生きをしています。

体脂肪には、本来身体機能を維持する上で、きわめて重要な役割があります。

皮下脂肪には体温を保つための断熱効果がありますし、女性では子宮を暖めたり、出産後母乳のエネルギー源にもなります。

さらに皮下脂肪の重みで骨に負荷を与え骨を丈夫に保つ、脂肪組織が女性ホルモンを合成し閉経後のホルモン不足を補う、などの理由から、ある程度の皮下脂肪蓄積が、閉経後の骨粗鬆症予防上、必要と考えられています。

一方、内臓脂肪は内臓を正常な位置に保つことにより、内臓下垂を予防していますし、男性ではかつて狩猟時などに緊急時のエネルギー源として重要でした。

さらに男性ホルモンには筋肉を増やすとともに、その熱源となる内臓脂肪を増やす働きがあります。

いま問題になっているのは、脂肪などの過食、運動不足などで内臓脂肪が過剰に蓄積した「内臓脂肪型肥満」です。

内臓の脂肪は主に腸間膜にあり、腹部CTスキャンでどれだけ蓄積されているか正確に判定でき、内臓脂肪面積が100cm2以上の場合、内臓脂肪型肥満と判定します。

体格指数が25以下でも内臓脂肪型肥満が見られる“かくれ肥満”も重要です。

もっと簡単に知るには、体格指数が25以上で、腹囲が男性では85cm以上、女性では90cm以上の場合に内臓脂肪型肥満の疑いと判定する方法もあります。

内臓脂肪の蓄積とともに、内臓脂肪細胞では高血圧の原因物質(アンジオテンシノーゲン、レプチン)、糖尿病の原因物質(TNF-α)、高脂血症の原因物質(遊離脂肪酸)、心筋梗塞の原因物質(PAI-1)などが盛んにつくられ始め、体内に放出されることが分ってきました。

一方、そのような影響から身を守る物質(アディポネクチン)も内臓脂肪細胞でつくられますが、内臓脂肪の蓄積とともに減少してしまいます。

ですから、少々太っていても、血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪、尿酸値、肝機能などが正常であり、運動量も十分であれば、内臓脂肪細胞は本来の役割通りに機能を果たしており、とくに減量にこだわる必要はない、といえます。

ちなみに、少々太っていてもよく運動している人は、標準体重であっても少ししか運動していない人に比べて死亡率が低いことが知られています。

さらに理想的な肥満度、つまり最も死亡率の低い体格指数(BMI)は加齢とともに増大することも分っています。

逆にダイエットの失敗によって、次の章で説明します「ウェイトサイクリング」を繰り返すことの方が、はるかに危険なのです。



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